2020年03月11日

花咲く春に

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三寒四温、日ごと少しずつ春めいて暖かくなっていくこの季節、
実家の庭は一番の花盛りとなる。

門扉の側に植えられた柊南天の黄色い花がこぼれ咲き、
木瓜の枝は伸び、赤い花をたくさん咲かせる。
沈丁花は今が満開。甘い香りが満ちる。

日々の暮らしの中に季節の移り変わりを感じるのが好きだった母は
庭木に蕾を見つけたり、セミの脱皮を観察しては私に話してくれた。
カメラで花を写真に撮ったりもしていた。

春、路傍に小さな紫の菫の花が咲く、
秋風に揺れて咲くあぜ道の萩の花。
そんな素朴な愛らしさを愛でた母を送るには少し華やか過ぎたかもしれないけれど
大好きな花を、溢れるほどの花を。

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ピンクのガーベラ、柔らかな花びらの薔薇も色とりどり…!
次女も私も思わず、「可愛い…!」とため息をついた。

更には、蘭や胡蝶蘭まで…!!
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…実はこのお花は葬儀会場からのサービス。
対で10万円分!
建物が一部改装中だからお詫びに、って。
正直、ホールを使用するのに特に不便もなく、お気遣い申し訳なかったくらい。
しかし、この豪華お花一対のおかげで、めちゃくちゃ華やかになった!
お顔周りをたくさんの胡蝶蘭で飾ってあげられたもの。
品ある母のお顔にふさわしい飾りをしてあげることができた。

母は子供の頃から、いつも周りの誰かしらが
「お腹が空いたでしょ、これを食べなさい。」
「貸してごらん、やってあげるよ。」
と自分が頼む前に手助けしてくれたと話していた。

「酉年生まれは食いっぱぐれない。」
とも、よく言っていた。
食べることに困らない、だから酉年に生まれた私の次女も大丈夫、安泰な人生を送る、と。
子供の頃は、へぇ、そうなんだと聞いていたが、年に連れ、さすがに科学的根拠がないことには気づいた。

20年前、母の出生について父が私に話してくれた。
戸籍には載っていないが、実は母は養女なのだと。
生まれたのは地元の大きな家で、かなり年の離れたきょうだいもいたようだ。

母が小学生の時、教育委員会から学校に視察があり、校長先生に案内されて教室にやってきたその人が、
母の机のところへ近づき、「がんばっているか?」と頭を撫でた。
それが実の兄だった…なんて、ちょっと少女漫画かドラマのようなお話だ。

母が10代の頃、化粧品店に勤め、店番をしていると、遠く離れた場所からこちらを見ている老夫婦に気付いたということがあり、
後からそれが実の両親だと親戚から聞かされたらしい。
学校を出て勤め始めた娘の姿を、そっと見に来ていたのだろう。
実家はたえず母の様子を気にかけていた。

大阪へ来てからも、親戚のおじさんやおばさんの家へ行ってはいろんなものを頂いたりした。
私が高校を卒業した春休み、母と一緒におじさん宅へ挨拶に行った折は、進学祝いとしてお財布をプレゼントしてもらった。
その時は子どもだったので、純粋に嬉しくて喜んだが、今なら気付ける。
そう頻繁に会うわけでもない姪の子にブランド物の財布をあげたりは、なかなかしない。

父が推測するには、母の実家が親戚宅へ季節ごとの贈り物などを欠かさず、
あの子を頼む、生活の様子を知らせてくれと伝えていたのだろう、
だから、たえず助けてくれる誰かに恵まれてきたのだ。
…確かに。
酉年生まれの人全員に安泰特典があるわけはない。
たぶん、子どもだった母に親戚の誰かが、酉年生まれは食いはぐれない、そういう星回りだと話して聞かせたのだろう。
実の親の存在を隠す為に。

しかし実際、同じ酉年生まれのうちの次女、すなわち母の孫娘は血を濃く継いだのか、
のほほんとしたままで、なぜだか豊かな人生を歩んでいて、食いはぐれない安泰特典の恩恵を受けている。
…星回りだけでなく、次女も母も非常に努力家な一面もあるんだけどね。

そんなわけで、
今回の唐突な会場からの10万円分の超豪華なお花のサービスは、
母の実の両親から、密かに贈られたもののように私には思えるのだ。
母の親戚筋はもう連絡の取れる人も居らず、そんなわけはないのだけど。
posted by める at 00:23| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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