2019年08月31日

サザン新曲「愛はスローにちょっとずつ」…ちょっとずつ何なのか?

先日、WOWOWでサザン「ふざけるな!!」ライブの放映があった。
その録画を毎日、見返して味わっているこの頃。
…すると、ふと気づいた。

サザンの新曲「愛はスローにちょっとずつ」
…ちょっとずつ何なのか、ずっと私、勘違いしてたわ!

普通の文脈で
「愛はスローにちょっとずつ」…と来ると、
ちょっとずつ深まる、とかそういうプラス方向の話になる。
私、なんとなくこの曲はそういう歌なんだと思ってしまっていた。

ところがですよ!
歌詞をちゃんと見てみると、
「愛はスローにちょっとずつ」につながる言葉は

「黄昏(セピア)に染まるんだ」
つまり、あれほど激しい愛情を傾け、それが破れて苦しんだ思いも、時の流れの果てに全ては想い出になっていくんだ、と歌っている。
めっちゃマイナス方向につながる歌詞内容に驚いた。

いや、この曲はライブでも生で聴いたし、
ラジオやさしい夜遊びの新曲発表でも聴いたのよ。
ちゃんと聴いてたつもりだったんだけどなぁ…。


歌詞の中身は、
失恋し、未練たっぷりの様子を歌っていて、
これはサザンの他の曲と状況や内容が一致している。
しかし、それを大変淡々と歌っているのがこれまでの曲と全く異なる。
以前の曲は、彼女のことを思うだけで涙が溢れ、
今は他の誰かと微笑み合っていると考えるだけで苦しい嫉妬と、取り返しのつかない後悔、絶望感に苛まれていた。

新曲では、そこから既に40年を経て、
そんな悲しみや苦しみも、なくなりはしないけど、少しずつ薄くなっていくものだということを歌っている。

終盤、
「もう泣かないさ」と顔を上げるのだが、
「君だけが希望の光」と続く。

「フラレた」という歌詞があるので、恋愛の歌として考えると、
それでも「君だけが希望の光」と諦めていない様子なのには違和感がある。
しかし、それも最後に
「さよならも云えず」と、彼女とヨリを戻せる可能性はない状況であることが、はっきりと示される。
それ故の深い後悔、未練と共に。

この曲を、少し角度を変え
急に病や事故、災害なとで亡くした大切な人を想って聴くと、
「君だけが希望の光」の部分が輝く。
そして、その後に続く「さよならも云えず」で涙が浮かぶ。

こんな仕掛けがあるからサザンは幅広い層に受け入れられ、
聴く人一人ひとりの心に寄り添う。
posted by める at 01:31| Comment(2) | 音楽 | 更新情報をチェックする